相手を「説得したい、取り込みたい、考えを押し付けたい」という気持ちから、誘導質問をする人がいます。
人は何か目的を持って話をするとき、自分の求めている答えを相手に言ってもらいたいという心理が自然と働きます。
しかし、その気持ちが強すぎて、相手が「誘導されている」と感じたら、警戒心が生まれるため、胸襟を開いた話はできません。
質問とは本来「私はあなたの話に興味津津です」というアピールであり、会話を盛り上げるためのものです。
誘導質問とは?
誘導質問とは、質問者が相手の口から引き出したい答えを得る、または「こう言わせたい」ということがあるときに用いる手法のことを言います。
例えば、裁判で証人が経験した事実の生じた時刻を質問する際に、「それは何時頃でしたか?」と質問するところを「午後9時ぐらいではありませんか?」と質問するようなケースが誘導質問に当たります。
誘導質問を使った会話例
相手を説得する誘導質問
同僚「昨日は定時で帰れると思ったら、課長につかまって3時間も残業だよ」
あなた「今日の企画会議の資料を作っていたんだよね?」
同僚「そうだよ」
あなた「今日の会議は社長も出席するからな~。念入りに準備しとかないと。まあ、課長に言われたら仕方ないよ」
⇒あなたは質問をして、同僚を説得するために、話の方向性を決めてしまっています。
この後、同僚はあなたに説得されてしまい、次の言葉が出ません。会話はここで終了です。
一方で、同僚の気持ちを察して質問すると
あなた「うわっ、それは辛かったよね。今も疲れが残ってるんじゃない?」
⇒同僚は「いつも残業を言われるのは自分ばかりだ」「課長は昼間はブラブラしているのに、定時近くになると仕事をしはじめて嫌になる」と自分の言いたいことを話すことができます。
自分が優位に立つための誘導質問
妻「そんな態度で、悪いことをしたって本当に思っているの?反省しているんでしょう?だったら謝らなければならないと思わないの?」
夫「なんだ、俺に、すみませんって言わせたいだけなのか」
と意地でも謝りたくないと思います。
そんな誘導に乗ってたまるかという気持ちになり、この後、会話は成立しません。
質問は、してほしい答えを引き出すために「誘導する」のではなく、会話を盛り上げるためや、相手のことを相手の知識や能力を「引き出す」話法として活用したいものです。
※【参考】会話が盛り上がる。オープンクエッションについて解説しています。ぜひご覧ください。
本日のまとめ
①会話では誘導質問は、できるだけしないように心がける。
②誘導質問は会話を途切れさせる原因となる。
③会話は質問で盛り上がり、誘導質問でシラケると心得る。