人を動かすには「感情」⇒「理性」の順でアプローチ
人には、「感情」と「理性」があります。
人をその気にさせ、動かすには
「まず感情を動かし、その後、理性で正当化できるようにしてあげる」
この手順を踏みます。
この仕組みをうまく活用しているのが、テレビショッピングです。
TVショッピングで「腹筋運動器具」を販売する手順
①使用前のぽっこりとしたお腹の出たシーンを流す
⇒視聴者に自分が抱えている問題点を改めて認識させて、「お腹をへこませたい!」という欲求を起させます。(感情を動かす)
②その後、キュッと引き締まったモデルを登場させる
⇒今の自分の状態とのギャップを認識させて、「こんなふうに、引き締まったお腹になりたい!」という欲求を起させます。(感情を動かす)
③理想の姿に到達する方法として、腹筋運動器具を使用しているシーンを流す
⇒イメージ体験をさせることで、
感情が「この腹筋運動器具が欲しい」という状態になります。
※視聴者の感情が欲しいという気持ちになってから、
④初めて金額を提示する
分轄払いもあるから経済的にダメージを与えないこと、トレーニングは楽であること、おまけがつくことなどを提示します。
⇒視聴者の理性が正当化できるようにする。
このように、人を動かすには、人が実際に行動するまでにたどる思考を忠実に体験させてゆくことが必要です。
この順番が狂ってしまうと「よし、買おう」という気にはなりません。
例えば、
腹筋運動器具の番組で、最初に「この商品は3万円です」と告知すると、その時点で、視聴者は、理性が働き「3万円も出すと、今月、生活が苦しくなる。効果があるかも疑問だ」などと、考えてしまいます。
その後でいくら説得しても、すぐに購入することにはなりません。
人を動かす会話例
人を説得する場合にも、感情→理性の順でアプローチすると効果的です。
夫が妻を説得する
「夫は週末に、焼き肉を食べにいくことを説得したい」
「失敗例」
夫「週末にどっか、食べに行かない?」
妻「いいわね!私はお寿司屋さんに行きたいな」
夫「焼き肉に行きたいんだけど…」
こうなってしまうと、「焼き肉VSお寿司」となり、後は交渉になってしまい、説得をすることが難しくなります。
失敗例では、夫が「どっか、食べに行かない?」というオープンクエッションで質問しています。
そのため、妻は何を食べに行こうかと自由に思考することができます。結果、妻は「お寿司屋さんに行きたい」という感情が湧き出てきました。
※オープンクエッションについては、こちらをご覧ください⇓
「成功例」
準備:説得に入る前に、焼き肉特集などのグルメ雑誌を用意する。
ポイント:焼き肉特集のグルメ雑誌を妻に見せながら話すこと。
夫「たまには、焼き肉を食べに行きたいな」
妻「行きたいわね」(感情を動かす)
夫「ほら、見て!こんなおいしそうな焼き肉が食べられるなら、行ってみたいよね?」
妻「絶対、行ってみたい」(感情を動かす)
夫「ここのお店なら、ほら、近いよ。知ってた?」
妻「えっ!本当?知らなかった」(理性で正当化)
夫「すぐ近所にあるよ。行ってみたいと思わない?」
妻「うん。行きたい」(理性で正当化)
夫「じゃあ、予約しておくね。週末にしようか?」
妻「うん、わかった」
妻が焼き肉を食べたいと思うような「焼き肉特集の雑誌」を用意しておくことがポイントです。
焼き肉特集の雑誌を見せることで、妻は焼き肉を食べたい気持ちが高まります。
そのタイミングで「焼き肉に行かないか?」というクローズクエッションで「イエス」「ノー」の回答を迫っています。
さらに、雑誌に掲載されているおいしそうな店が、近くにあることを知っているかを質問しています。
そして、またクローズドクエッションで「行ってみたいと思わない?」と聞けば、ほぼ100%「行きたい」と答えます。
あとは、「焼き肉に行くことはきまったが、いつにするか」という問題が残るだけで、週末を提案するだけです。
このように、人を動かすためには、「相手にYESと言わすためのシナリオ」を事前に準備しておくことが大切です。
※クーロズドクエッションについては、こちらをご覧ください⇓
本日のまとめ
人を動かすには、「感情」⇒「理性」の順でアプローチすること。
ポイントは「まず感情を動かし、その後、理性で正当化できるようにしてあげる」
この順番が狂うと、人は動かない。
人を動かすには、事前にシナリオを準備しておくことが大切。