ダブルバインドとは?
「ダブルバインド」とは日本語で訳すと「二重拘束」という意味になります。「2つの矛盾した命令を他人にすることで相手の精神にストレスがかかる状態」を指します。
「ダブルバインド」は、アメリカの統合失調症の研究者グレゴリー・ベイトソンが1956年に提唱した「ダブルバインド理論」に由来しています。
「ダブルバインド」は説明だけ聞くと、とても難しく思われますが、私たちの日常生活で多く見受けられます。
ダブルバインドの具体例
職場でのダブルバインド
質問する
普段から「わからないことは、遠慮なく聞いてね」
と言ってくれる親切な上司。
分からないことがあったので、質問してみると
部下「〇〇の処理がわからないのですが‥」
すると、
上司「何でも、すぐに聞いたらダメだよ。まずは自分で考えてみて!」
どこの職場でよくあることですが、これも、質問をしていいかどうかがわからなく、メッセージの受け手である部下が混乱してしまうダブルバインドの1つです。
仕事のミス
上司「どうして、こんなミスをしたんだ!」
部下「…」
上司「何か言ったらどうだ?」
部下「時間がありませんで、焦ってしまいました」
上司「そんな言い訳をするな!」
これも返答をしていいかどうかが分からなく、メッセージの受け手である部下が混乱してしまうダブルバインドです。
親子間のダブルバインド
進路相談
親「お前の人生だから、自分で決めたらいいんだよ」
子「大学に進学しないで、卒業したら働くね」
親「何、言ってるんだ。大学は行きなさい」
子「(自分で決めたらいいと言ったのに‥なんだよ…)」
買い物
親「好きなおもちゃを買っていいよ」
子「じゃあ、これが欲しい」
親「こんなの買っても、遊ばないでしょ。無駄になるだけよ」
子「(好きなおもちゃ買っていいと言ったのに‥)」
2つの例に見られるように、親は子に自由を与えておきながら、子の話を聞いた途端に否定的なことを言い、自分の考えを押し付けています。
親が子をコントロールしようとして、子に精神的なストレスを与えている、ダブルバインドです。
ダブルバインドにならない話し方
ダブルバインドにしないためのポイントは「相手を受け入れて尊重する」ことです。
そして、お互いが納得する着地点をお互いで見つけていくようにします。
先ほどの親子の会話を例にします。
進路相談
親「お前の人生だから、自分で決めたらいいんだよ」
子「大学に進学しないで、卒業したら働くね」
親「高校を卒業したら、働きたいんだね。大学に進学して、自分が将来やりたいことを専門的に学んでからでも遅くないんじゃないかな?」
子の考えを受け止めて(尊重して)、自分の考えを提案します。
買い物
親「好きなおもちゃを買っていいよ」
子「じゃあ、これが欲しい」
親「このおもちゃが欲しいんだね。これは、使い方が難しくて大人向けだから、こっちから選ぼうか?そのほうが楽しく遊べるよ」
子の要望を受け止めて、ダメな理由を説明します。
職場でのダブルバインドは、無意識におこなわれているケースがほとんどです。そのため、まずは、当事者が自分の言っていることに矛盾がないか意識することです。
自分で気づかないことも多いので、ダブルバインドに気づいたら、周囲の人に指摘してもらうようにしておくのも1つの方法です。
親子間の会話と同じく、「相手を受け入れて尊重する」ことを忘れないようにしましょう。
【参考記事】子供の自己肯定感を高める会話
本日のまとめ
・ダブルバインド(二重拘束)は、相手のメンタルに悪影響を与えてしまうので、自分の言っていることが、ダブルバインドになっていないか、普段から意識をしていくこと。
・ダブルバインドにならないためには、「相手を受け入れて尊重する」ことが重要である。