曖昧な表現は日本の文化
日本には「言葉を濁す」という慣用句があるように、はっきりと自分の主張を言葉で表さない文化があります。
私たちが、「だいたい、ほぼほぼ、できるだけ…など」といった、曖昧な言葉を使うのは、相手を不快にさせてしまうのではないかとの配慮からです。
一方で、ビジネスシーンでは、曖昧な言葉は相手を煩わせたり、ときには自分の信用を失うこともあります。
例えば、職場では仕事の依頼を「受けることができる、できない」は、明確に答える必要があります。
相手にわかりやすく、具体的に伝えることが基本とされています。
曖昧な言葉を使うのは美徳ということに、こだわりが強すぎると、相手を配慮しているつもりが、誤解を招いたり、困惑させてしまうことがあります。
以下、具体例を見ていきます。
誤解・困惑を招く曖昧な表現の具体例
友人からの誘い
友人「今度の休日、映画を観に行かない?チケットが2枚あるんだ」
という友人からの誘いに対して、私は
✕「映画か~、ビミョーだな」
本心では行きたくない、でも、そう言ってしまったら、相手を傷つけるのではないか、相手への配慮から「ビミョー」という、曖昧な返事になりました。
友人は、もし私が行かないのであれば、他の友人を誘うはずです。私が、はっきりと答えないことで、友人を困らせてしまいます。
断る場合は、
〇「今度の休日は、家の用事があって行けないんだ。また誘ってね」
このように、明確に答えることが、友人への本当の配慮です。
職場での会話
飲み会の誘いに対して
✕「(飲み会に)行けそうなら、行きます」
上司から仕事を頼まれて
✕「(頼まれた仕事を)やれるようでしたら、やっときます」
職場で、このような曖昧な返事は信用を失います。
答え方としては
〇「誘ってくれて、ありがとうございます。ぜひ参加させてください」
〇「今日中は無理ですが、明日まで時間を頂けるなら、やっておきます」
このように、職場では、はっきりと具体的に答えることが、職場の仲間への配慮です。
部下への指示
上司が出かける間際になって
✕「まあ、いい具合にやっといて、後は任せるわ」
アバウトに任せると言われても、部下は不安になります。
後になって、そんな指示は出していないよ。と言われることが怖いからです。
〇「17時までに、▲▲のところまでを完成させてね。完成したら、〇〇さんから
報告をしてくれるかな。分からないことがあれば、連絡してきてね」
指示は5W1Hを基本に、明確に伝えることが、部下への配慮です。
ビジネスシーン
「お返事はいつぐらいにもらえますか?」
✕「社内で検討いたしまして、それからです」
〇「社内で検討いたしまして、〇月〇日までに返事をします」
イエスの返事は無いと暗に伝えているのですが、イエス、ノーはともかく
「いつ頃までに返事します」
と答えを出す期限を示しておくことが相手への配慮です。
褒める(称賛する)とき
部下が上司に対して
部下「部長は、部長らしくありませんね」
部下は
「偉そうでもないし、気軽に何でも相談できる、そういう人柄の部長を尊敬している」ということを伝えたつもりです。
しかし、部長は、
「私にリーダーシップがないという意味か?私は部長の器がないという意味か?」
と全く違った意味で受け取ってしまいました。
言葉足らずで、曖昧な言い方をしてしまったために、誤解を招いてしまいました。
〇「部長は、部長らしくありませんよね。いつも、とても話しかけやすい雰囲気で、何でも相談に乗って頂ける。そんな部長の人柄を尊敬しています」
とくに、人を褒める(称賛する)ときは、具体的に伝えないと、誤解をを招いたり、真意が伝わらなかったりすることがあります。
※仕事を任される人の特徴について解説しています
本日のまとめ
・曖昧な言葉は、相手を煩わせたり、自分の信用を失うことになる。
・職場やビジネスでは、曖昧な表現は使わずに、イエス、ノーをはっきりと答える。
・指示を出すときは、「5W1H」を基本に明確に出すこと。
・ビジネスで、回答や返事をするときは、「いつまでに」という期限を示すこと。
・褒める(称賛する)ときは、言葉足らずの曖昧な表現は誤解を招くことがあるので、 具体的に伝えること。