劣等感に対する心理
人は劣等感について2つの心理を持っているといわれています。
1つ目は「自分が劣等感に思っている部分を消し去りたい、自分のなかから除去したい」という心理。
2つ目は「劣等感に思っている部分も含めて、周りの人たちから自分という人間を受け入れてもらいたい」という心理です。
一般的には、後者のほうが強いと思われます。
なぜなら、「劣等感を消し去りたい」と思っても、その困難さは誰もが知っているからです。
ここに人間心理のツボがあります。
つまり、「相手が劣等感と思っている部分を褒める」です。
美人を「キレイ」と言って褒めてはいけない
美人な人に
「キレイですね」と褒めたとしても、褒められた本人も
「ええ、私はキレイです」と答えるわけにもいかず、
「そんなことありません」と答えれば、
「いや、あなたはキレイな人です、もっと自信を持って!」となり、
褒められた女性は、辟易としてしまいます。
特に、美人は「ほめられること自体」に、うんざりしている傾向があります。
というのも、美人は容姿を褒められるばかりでなく、何から何までほめられるケースが少なくないからです。
なぜなら、人は「ひとつの際立った美点があると、その他のすべてが好意的に感じられてくる」という心理があるからです。
これが「美人は得」と言われる理由の一つです。
劣等感やコンプレックスを褒める
美人な人にも、それぞれ劣等感があります。
「キレイですね」とほめても喜んでもらえないなら、美人の持つ劣等感に照準を当てはめてみましょう。
ある美人は、字がヘタということにコンプレックスを持っていたとします。
ふつうであれば、人のコンプレックスには触れないというのが人間関係の鉄則ですが、敢えて触れます。
例)
「必ずしも上手な字とはいえないけれども、ていねいな字を書こうとしている一生懸命な感じがよくわかりますよ。こんな字を書く人に、私は好感を持ちます」
褒めるときのポイントは、例のように
相手の劣等感・コンプレックスな部分に触れたあとに、「そんなあなたを私は好きです」と付け加える言い回しをすることです。
◎劣等感・コンプレックスに触れる +「そんなあなたを私は好きです」
この話し方は、とても効果的ですので、公式として覚えておきましょう。
その他にも
口ベタなことに劣等感がある人には、
「あなたは口が上手いとはいえないが、その朴訥とした感じが、私は好きです。巧言令色鮮し仁ともいいますよ」
「巧言令色鮮し仁」は、巧みな言葉を用い、表情をとりつくろって人に気に入られようとする者には、仁の心が欠けている。という意味mなので、褒め言葉になります。
カラオケがヘタ、オンチであることにコンプレックスがある人には
「たしかに上手いとはいえないけれど、それだけ味があるっていうか、胸にジーンと伝わってくるものがありました(そんなあなたを私は好きです)」
どう聞いても、だれが考えてもオンチな人に、「上手い!最高!」などと拍手を送れば、それは見え透いたお世辞です。
正直に「上手くない」といってから「胸にジーンときた」付け加えると、信ぴょう性が生まれます。
生まれ育った家庭環境に劣等感を持っている人には
「家が貧しかったんですか?いろいろ苦労もされたでしょうが、それよりも松下幸之助さんは、生まれた家が貧しかったことが私の成功のヒケツだっていっていますよ。つまりハングリー精神です。あなたは、生まれつき、そんなハングリー精神を持っているんですね」
※「褒め上手」とはどんな人なのかについて解説しています。
本日のまとめ
人を褒めるときは、相手の劣等感やコンプレックスに触れないというのが、基本であるが、敢えて触れた後に、「そんなあなたを私は好きです」という言い回しを付け加えることで、相手の優れているところを褒めるよりも効果を高めることができる。