褒めたつもりが嫌味になっていた、という場合もある
自分ではほめたつもりが、相手には嫌味に聞こえてしまう場合があります。
たとえば、
×「お金をたくさんもっているんですね。うらやましいですよ」
といった話し方です。
こんなことを言われたら、場合によっては、「金の亡者だと言いたいのか」と受け取る人もいるのではないでしょうか。
あるいは、「金を貸してくれって頼みたいんじゃないだろうな」と、裏を読む人もいるかもしれません。
ですから、蓄財についてほめるときは注意が必要です。
○「優雅なお暮しですね」
○「働き者でいらっしゃるんですね」
といったような話し方で、暗にお金持ちであることをほめる、という方法のほうが無難でしょう。
男性が女性の容姿についてほめるときも注意が必要です。
×「色気がありますね」
といった話し方をしたら、相手から「下心があってそんな言い方をするのか」と思われかねません。
また、女性の容姿をあからさまにほめることは、社交的に失礼になることもあります。職場ではセクハラになるでしょう。
自分自身が社交を知らない下品な人間だと見なされかねませんから要注意です。
○「落ち着いた雰囲気がありますね」
と、性格をほめたほうが無難です。
それでは、上手な褒め方について見ていきたいと思います。
上手な褒め方
具体的な行動を褒める
「すごいね」「かっこいいね」といった抽象的な褒め言葉はお世辞っぽく聞こえてしまうことがあります。
そんな時は、相手の具体的な行動を褒めるのがおすすめです。
たとえば、相手が整理整頓していたら
「まめに整理しててすごいね」
カラフルな服を着ていたら
「色の取り入れ方が上手だね」
というように具体的に褒めれば信ぴょう性が高まります。
相対評価より絶対評価で褒める
相対評価とは、何か別のものと比べて評価することです。「○○さんよりできているね」といった褒め方になります。
絶対評価は「面白いね」というように、比較せず単体で褒めることです。
周りと比べられるよりも、自分そのものを良いと言われる方が、真心から褒められているように感じるので、より効果的になります。
誰かと比べず、その人の魅力をストレートに褒めるのがコツです。
結果より過程を褒める
結果を褒めるのは簡単ですが、プロセスを褒めるのは難しいものです。
なぜなら、結果は最後に見るだけで分かるのに対して、過程はずっと見ていなければ分からないからです。
だからこそ、過程を褒めると「それだけ自分のことをちゃんと見ていてくれたんだ」と感じてもらうことができ、喜ばれます。
相手の結果だけを褒めるのではなく、その結果に至るまでの過程を褒めるようにしましょう。
下手な褒め方
「本当はそうは思わない」のに褒める
「本当はそう思っていない」という本心が透けて見えると、相手は自分が馬鹿にされたように感じてしまいます。
褒め上手になるためには、相手の長所を見つけるスキルを磨く必要があります。
軽々しくお世辞を口にするよりも、まずは目の前の相手を「ポジティブな視点でよく観察する」ことを、習慣化しましょう。
上から目線で褒める
褒めるというのは、本来は相手を立てる行為のはずですが、実は、褒め方によっては、相手から上から目線のように感じられてしまうことがあります。
たとえば、相手の仕事ぶりに対して
「よくできましたね」
「いいと思います」
という言い回しです。
自分がその人について「いい」と思うことについて言及しているので、形式的には褒め言葉に当たりそうなのですが、言い方によっては「自分が合格点をつけてあげる」、「評価してあげる」というニュアンスになり、相手に不快感を与える可能性があります。
上から目線の褒め方は、知らず知らずのうちにやってしまっていることがあります。褒めるという行為は、相手を評価することではなく、自分の尊敬・感動を伝えるものだということを押さえておきましょう。
「過剰」な褒め方をする
お世辞ではなく、本当に心から尊敬・感動したときには、ありきたりな言葉ではなく、気の利いたフレーズで相手を讃えたいものです。
しかし、そうした自分の感情が空回りして、かえって気持ちが伝わりにくくなることもあります。
たとえば、
「あなたの瞳はダイヤモンドみたい!」
と言われたら、たとえそれが嘘偽りのない心からの言葉であっても、ちょっとびっくりするか、うさん臭く感じてしまう人がほとんどではないでしょうか。
褒めたいエネルギーが強すぎて、独りよがりにならないようにしましょう。自分の言葉が相手にどう聞こえるか配慮することを忘れないことが大切です。
本日のまとめ
上手な褒め方
・具体的な行動を褒める
・相対評価より絶対評価で褒める
・結果より過程を褒める
下手な褒め方
・「本当はそうは思わない」のに褒める
・上から目線で褒める
・「過剰」な褒め方をする