ノーと言える人になる方法
相手と自分が誠実だからこそ「ノー」を伝える
周囲のちょっと強引な人からの依頼やお誘いを、断ることができずに困ったことはないでしょうか。
あるいは善意からのアドバイスやいただきものを「本当はいらないのになあ…」と心の中でつぶやきながら、「ありがとうございます…」と受け取ってしまったことはないでしょうか。
「ノー」の伝え方には工夫が必要です。
はっきり言うとカドが立ちますし、言わないでいると自分にストレスがたまり、遠回しに言えば誤解されてしまうなど、「ノー」を上手に伝えられないために、人間関係でストレスをためてしまうことは多いものです。
「ノー」と言ったほうも、言われたほうも、嫌な気持ちを残さないためには、まずは私たちの持っている「ノー」のイメージを捉え直すことが必要かもしれません。
「ノー」と言うなんてわがままだ、相手が嫌な気持ちになるだけ、自分に能力がないと思われてしまう…と思ってしまうとすれば、まずは「ノー」と感じること、適切に伝えることは大切なことだ、と心に落とすことから始めてみましょう。
本当は嫌なのにYESと言う。
これは、相手に自分の気持ちを隠しているということです。
あなたの言葉を信じてくれている人に、偽りで答えているということです。
また、自分がそういう行動をとっていると、相手も同じなのではないかと考えるようになります。
本心から言ってくれている言葉なのに、信じることができなくなってしまうのです。
つまり、誰か「ノー」と言うことは、100%自分に誠実であるということです。
そしてそれは相手に対しても100%誠実であるということです。
「ノー」と言えずに断れないために、自分の中に小さな不満をため続けると、結局は相手のことを嫌いになってしまいます。
相手とより良い関係を築くためにこそ、さわやかに「ノー」を伝える必要があります。
それでは、どのように伝えれば、相手を傷つけることなく断ることができるのか、事例をあげて考えてみましょう。
気の乗らない誘いを断る話し方
例)以前からお世話になっている先輩から、「あなたにとって有意義なセミナーだから、参加しない?」と、週末のセミナーの誘いを受けた。しかし、週末は自分のための時間に使いたい。
「NGな返答」
結論だけ言う
×「ムリです」
×「絶対だめです。予定があるので行けません」
このように、結論だけを言うと、相手は驚き、二度と誘ってくれなくなります。
だからといって、
×「そうなんですね。面白そうですね。どんなセミナーですか?」
と内容について質問する。
多くの人が、相手の気持ちを考えて、つい話に乗ってしまいます。
そうすると、今度は相手のペースに乗せられて、最終的には行くはめになります。
「良い返答」
相手の気持ちを受け止める
〇「お誘いいただきましてありがとうございます。お気持ちは大変嬉しいです」
相手の顔を見ながら、まずは相手の善意や厚意に感謝するところから始めます。
さわやかに「ノー」と伝えるコツは相手の気持ちは受け取って、モノは断る、というスタンスです。
相手はよかれと思って勧めてきてくれているので、その気持ちはきちんと受け止めましょう。
意志をはっきり伝える
〇「せっかくお誘いいただきながら、申し訳ないのですが、今回はパスさせてください」
相手の善意は受け止めつつも、自分の「ノー」をさわやかに伝えます。
「ムリです」というストレートな言い方ではなく、「今回はパスしたい」と、私を主語に伝えることで、相手もメッセージを受け取りやすくなります。
予定があるのに仕事を押し付けられそうなときの断り方
例) 職場の先輩から、「今からお願いね」と、終業間際に仕事を頼まれました。今日は、別の予定が入っていて定時に帰りたい…
「NGな返答」
皮肉を言う
大きなため息をついて
×「いいですね、先輩は仕事を振る人がいて」
と皮肉をチクリと言う。
×「どうしていつも急に振るんですか、そんなの無理ですよ」
と、きっぱり断る。
皮肉を言っても、きっぱり断っても、相手はこちらの真意をはかりかねて困惑します。
「良い返答」
「ノー」の的をしぼる
態度やオーラで伝えようとしても、相手はこちらの真意を測りかねて、
「わがままな人だ」と別の憶測をしてしまいます。断りたい理由を具体的に、的をしぼって伝えることで、相手に納得してもらいやすくなるでしょう。
〇「本当に申し訳ありません。本日はすでに別件が入っていて、これからすぐというのが難しいです」
と、問題はタイミングであることを、誠実で真摯な態度で伝えます。
代替案を提示する
自分の「ノー」を伝えるということは、裏を返せば自分の「イエス」を伝えることでもあります。
〇「これからは難しいのですが、明日の午前中でしたら大丈夫です。明日の朝一にとりかかるというのでは、いかがでしょうか」
と、今日が難しければ、いついであればOKなのかも合わせて伝えておくことで、前向きなノーになります。
本日のまとめ
気の乗らない誘いを断る話し方
「NGな返答」
・結論だけ言う
「良い返答」
・相手の気持ちを受け止める
予定があるのに仕事を押し付けられそうなときの断り方
「NGな返答」
・皮肉を言う
「良い返答」
・「ノー」の的をしぼる
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