仕事で「取引先を怒らせた」「商品にクレームがついた」「納期に間に合わない」「発注ミスをした」など、「悪いニュース」は否応なしにやってきます。
問題は、それをどう上司に報告するか、そしてどう解決へ導くかです。
そのプロセスを大きく3段階に分けて解説します。
「悪いニュース」の報告のしかた
第一段階「報告」
トラブルなど「悪いニュース」は上司に伝えにくい。原因が自分のミスにあるとすれば、なおさらですよね。
報告のときに
「折り入ってご相談が~」
など、できるだけオブラートで包むように前置きしたくなります。
また正確に報告しようとするあまり、あるいは言い訳のために、経緯を細かく話してなかなか問題点に至らない場合もあります。
その気持ちはよく分かりますが、トラブルの報告としてはいずれもNGです。
なぜなら、聞き手の上司にとっては不安な時間が長く続き、冷静な判断がしづらくなるからです。
こういう時は、まずできるだけ簡潔に、結論だけスパッと報告するのが正しいやり方です。
前フリも、細かい経緯の説明も不要です。せいぜい10秒以内で言い切ると肝に銘じましょう。
トラブルの当事者であれば、最後に「すみません」「申し訳ございません」などの謝罪の言葉を忘れずに付け加えます。
第2段階「提案型の報告」
10秒で報告を終えたとして、後は上司からの指示を待つだけだとしたら、仕事を任されている当事者
として、物足りません。
そこで第2段階として用意したいのが「提案」です。
たとえ経験が浅かったとしても、当事者として問題をどう処理すべきか、案を出すことはできるはずです。
それも「A案」「B案」「C案」と3つぐらい揃えて、「このうちどれがいいですか」と尋ねられれば理想的です。
その理由は2つあります。
1つは、上司の意識を早々に対応策に向かわすことができるからです。
上司にゼロベースで考えてもらうとなると、より多くの状況説明が必要になります。
その途中で小言の1つも食らうかもしれません。これは言われる側もつらいですが、言う上司もしんどいのです。
しかし、複数の案をたたき台にして検討すれば、両者は「叱る・叱られる」の関係から、一緒に事態に対処する「共闘」の関係に変化します。
そうなると、小言の入る隙はなく、気分も前向きになるはずです。
実際、部下が持つ現場の情報と上司が持つ経験による知恵が合わされば、何らかの解決策は簡単に出てくるのではないでしょうか。
もう1つの理由は、ストレス軽減になるからです。
上司に頭を下げながら「どうすればいいですか」と尋ねるより、上司を見据えながら「そこでこの案はどうですか」の方が話しやすいですよね。
報告する段階で案を用意する必要はありますが、案があれば報告がしやすくなります。
第3段階「解決策だけに焦点を与える」
これによって「共闘」の体制が整ったら、次に必要なのは「解決策」の決定です。
ここで参考にしたいのが「ソリューションフォーカスト」と呼ばれる方法です。
心理療法の1つで、過去や原因を深堀せず、解決策にだけ焦点を当て、改善を図る考え方です。
たとえば、アルコール中毒者に対し、過去にどんな飲み方をしてきたかを問うのではなく、現状において飲まない時間帯(睡眠時など)もあることをポジティブに評価します。
そして将来的にその時間帯を延ばしていこうと励まします。
実際にこうしたアプローチで、かなり治療の成果が上がっています。
これは仕事上のトラブルにも応用できます。
一方で、面倒なのが、感情的な対立に発展するケースです。
意見が対立する原因を突き詰めようとしても、水掛け論になって逆に悪化させる恐れがあります。
であれば、未来志向で感情の問題は脇に置き、とりあえず現状を見つめて妥協点を模索した方がいいです。
部下をそう諭せる上司も立派ですが、上司にそんな提案をできる部下は、一目置かれる存在となるでしょう。
※ビジネス上のトラブルを丸く収める3つの鉄則について解説しています。
本日のまとめ
職場で「悪いニュース」を上司に報告するコツ
第一段階「報告」
前置きや言い訳はぜずに、概要だけをできるだけ簡潔に伝える。
トラブルの当事者であれば、「すみません」などの謝罪の言葉を忘れずに!
第二段階「提案」
解決策を上司に委ねるから、報告がストレスになる。
積極的に「こういう解決策でどうですか」と問題を解決する提案をする。
できれば3案ぐらいを用意しておく。
第三段階「解決策だけに焦点を当てる」
過去にさかのぼって原因を究明しても、解決できない問題は多い。
現状と未来を見据え、妥協点を見出そう。