アンカリング効果とは?
アンカリング効果とは、最初に与えられた数字(アンカー)を基準に考えることで、その後に提示された別の数字への認識が異なるという現象です。
例えば、通信販売でよく使われる、
「メーカー小売価格25,000円」のところを「特別価格19,000円」でご奉仕!
この場合、最初の25,000円が基準になるため、6,000円も得になるなら購入しようという意欲を視聴者に喚起させます。
このように、アンカリング効果は、人間が先に知っている情報を基準として、その後の判断を歪めてしまうという心理的な行動です。
アンカリング効果はマーケティングだけでなく、日常の様々な場面でも使われています。
アンカリング効果の具体例
チラシ・POP
「当店通常価格3,000円」と「サマーキャンペーン価格2,700円」
元々の値段3,000円がアンカーとなって、その後に表示された2700円がお得に感じられるというアンカリング効果を活用した表記方法(二重価格表示)です。
「通常価格より50%OFF」
通常価格は知らないけども、「とにかく安くなっているのだな」と消費者に認識させる表示方法です。
営業
顧客に見積書を提示するときに、見積書の中に値引き欄を設けて、合計金額からの割引額を表示することでお得感を出します。
キャンペーン期間割引 ▲10,000円
ネット申し込み割引 ▲3,000円
こうした表記をすることで、購買意欲を喚起させます。
人間関係
待ち合わせに遅刻する場合、
「30分ほど、遅れます」と連絡をしておき、実際には15分遅れで到着した場合、遅刻したにもかかわらず、相手は「早かったね」といったポジティブな印象に変わることがあります。
周囲から、あなたが自己主張が強い人というレッテルを貼られているとします。
そこで、あなたが「人の話に耳を傾け、人の意見を取り入れる」といった言動をとると、今までとのギャップから、周囲のあなたへのイメージがガラリと変わり、以前よりも良い評価を得ることができます。
これもアンカリング効果の一つといえます。
投資
例えば、株式を購入する際に、銘柄の過去の情報を調べてから購入するという人も多いです。
Aという銘柄の過去の価格が1,000円。現在の価格が500円という場合、割安と判断して購入するケースがあります。
過去の情報は、その銘柄の価格が今後、上昇することを意味するわけではありませんが、購入意欲が湧くのは、アンカリング効果が影響しています。
株式投資以外にも、値動きががある投資商品にもアンカリング効果が働きやすくなります。
アンカリング効果を活用したマーケティングの注意点
長期間の使用
例えば、同一商品に対して「通常価格3,000円」「特別価格2,000円」と表示していた場合、消費者にとっては「2,000円」が当たり前になってしまいます。
その結果、2,000円であることが基準となり、より条件の良いものが出てくるかもしれないと考えて、購入にいたらなくなります。
二重価格表示
二重価格表示については、消費者庁より景品表示法上でガイドラインが公表されているので、不当表示にならないように配慮する必要があります。
※消費者庁webページ
※購買意欲を高める交渉術
本日のまとめ
マーケティングにおいて、アンカリング効果を使えば、消費者の購買意欲を高めることができる。
アンカリング効果は、マーケティング以外にも普段の生活や人間関係を良くするために活用することができる。
注意点をよく理解して活用しよう。