忠告や指摘をするときの心構え
上から目線の言い方はどんな場合もNGだと知っていても、忠告や指摘はともかく高圧的になりやすいものです。
フラットに話すためには、共有感情を持つのが有効です。
「私は客観的、あなたは主観的」
「こちらは被害者、そちら加害者」
と対立的に考えず
「おたがい様だよね」
「今回は私が言わせてもらうけどね」
という前提で話します。
そういうちょっとした意識の変化が、人間関係を向上させる大きなポイントなになるのです。
忠告や指摘するときのコツ
目的を意識する
何のために忠告や指摘をしようとしているのかを落ち着いて考えてみましょう。
よくありがちなのは、無意識に相手を論破することを目的にしてしまっているケースです。時にはそういうやり方が必要なこともあります。
しかし、チーム内で話し合う場合などには、そのやり方は効率的でないことが多いです。
論破をして議論に勝ったとしても、人間関係にしこりを残すことになりかねないからです。
疑問調で聞く
自分では解決策を出せないけど、忠告や指摘したいことがあるときは、
「できるかは分からないですけど」
「解決策は思いつかずに言うんですけど」
といった枕詞をつけるといいです。
また、相手に対して感謝の気持ちがあるなら、しっかりと言葉にして伝えましょう。
例えば、企画のレビューで指摘する場合は、内容はどうあれ企画骨子を作ってきたという事実は認めるべきで、さりげなく労いの言葉をかけます。
感謝や気遣いというのは思っている以上に人に伝わらないので、意識的に伝えてから忠告や指摘することで相手がすんなりと受け止めてくれたりします。
自分の意見を伝える
例えば「A案とB案どちらにしようか」という話になった場合に、
「B案ってここがダメじゃないですか?」
のような指摘はよくありません。
指摘された側が相手の主張を想像しなければならず、認識の齟齬が発生しやすいからです。
「じゃあ、あなたはA案がいいんですか? それともA案もダメだからそもそも違う案を考えなきゃダメだって言いたいんですか?」といったことを、指摘された側が思案しなければならなくなります。
指摘するときは「A案の方がいいと思います。B案はここが不安です」のように自分の意見を伝えるようにしましょう。
シチュエーション別の会話例
忠告を聞き入れてくれない人に対して
相手のことを思って、こちらが忠告をしても、なかなか聞き入れてくれないタイプの人がいます。
聞き入れてくれないどころか、なかには、怒り出す人もいます。
妻が夫の健康を心配して
×「少し、暴飲暴食を控えたら?」
×「もっと、健康に気をつけてほしい」
と忠告したら、夫が
「オレに命令するな!」
と怒り出し、それが原因で、しばらく関係がギクシャクすることがあります。
このような人に対しては、人間関係を悪くしないために
「〇〇してほしい」
とストレートには言わずに
〇「管理栄養士をしている友人が 言うには、お酒を飲みすぎる だけでも、 糖尿病とか高血圧のリスクが 高まって、深刻な病気を招くそうよ。怖いね」
〇「友だちが、『ご飯だけを減らすダイエットで7キロもやせられた』って言ってたよ。 肉や野菜はいくら食べてもいいんだって」
このように、忠告を聞き入れない人には
「友人の〇〇が言うには」
というような言い方をしてみましょう。
主語を第3者に変えて、間接的に伝えるのがポイントです。
きつく戒めないといけないとき
仕事などでは、人を戒めないといけない時があります。
しかし、その言い方には注意が必要です。戒め方が悪いと、相手はとたんにやる気を失います。
部下が締め切りまでに仕事を終えることができなかったときに
上司がムッとして
×「締め切りを守るのが 常識だろう」
×「ルーズだなあ」
このように、相手を
「常識のない人間」
「ルーズ」
などと決めつけるような言い方は、相手の人格否定につながります。
相手としては、素直に反省できないばかりか、そんな言い方をする上司に強い反感を抱くことになるのではないでしょうか。
締め切りに間に合わなかったのは何か事情があったのかも知れません。
その事情について、部下から話を聞くのが、上司としての正しい姿勢です。
〇「君が締め切りに遅れるなんてめずらしいね。何かあったの? 事情を聞かせてくれないかな」
そう問いかけて、部下の話をよく聞いて納得できれば、
〇「わかった。次は締め切り厳守で頼むね」
と、言ってあげるのがよいでしょう。
※参考記事 叱り方についてはコチラの記事を参考にしてください。
本日のまとめ
忠告や指摘は上から目線になりがちなので、
「私は客観的、あなたは主観的」
「こちらは被害者、そちら加害者」
と対立的に考えず
「おたがい様だよね」
「今回は私が言わせてもらうけどね」
という前提で話をする。
忠告や指摘するときのポイント
・目的を意識する
・疑問調で聞く
・自分の意見を伝える
◎忠告を聞き入れてくれない相手には、「(私は)〇〇してほしい」とストレートに言うのではなく、
「友人の〇〇が言うには」というように、主語を第3者に変えてみよう。そうすることで、相手は聞く耳を持つ。
◎職場で、部下をきつく戒めないといけないときは、決して「常識がない」などといった人格を否定する言い方をしてはいけない。
まずは、事情を聞くようにしよう。