人に要望を伝えたいときや、動いてほしいときには、「Iメッセージ」が有効であることを/の記事で紹介しました。
たとえば、水道の蛇口を締め忘れた家族に対して
「Youメッセージ」で
「(あなたは)蛇口を締め忘れている。(あなたは)なんでできないの?(あなた)もっとしっかりして」
と伝えるよりも
「Iメッセージ」で
「(私は)蛇口を締め忘れてほしくない。気をつけてくれると(私は)助かる」
と伝えたほうが、相手に押し付けたり、責めているような印象にならずに伝えることができます。
このように要望を伝えるときは、Iメッセージが有効です。
しかし、話を盛り上げたいときの質問は、「Youメッセージ(あなたは+?)」が効果的です。
「あなたは+?」で、相手に興味、関心を寄せる
職場の同僚との会話
「夏休みに、山登りに行ってきたんだよ。いい天気で山頂からの見晴らしがよかったよ」
×「へぇ、(私は)山に登ったのはいつだったかぁ。2年まえかな。あの時は雨が降り出
して大変だったよ」
○「へぇ、(あなたは)どちらの山に行ったんですか?」(あなたは+~ですか?)
「○○山だよ。家族みんなで、行ったんだよ」
×「(私は)○○さんより、××さんの景色の方が好きだなぁ」
○「昨日は、天気が良かったから、最高だったでしょう。(あなたの)お子さんはおいくつですか?」(あなたは+~ですか?)
「7歳と10歳だよ。2人ともおおはしゃぎだった」
友人との会話
「昨日、親に電話したら、結婚はまだか?孫の顔が見たいってうるさいんだよね」
×「あ~、わかるわかる。うちの親もよく言うんだよ。こないだなんて、お見合いしろって言うんだから、困るよ」
○「あ~、わかるよ。それで(あなたは)親にどう返しているの(ですか)?」
(あなたは+~ですか?)
「今は仕事が忙しいから、結婚は考えてないって言っているけど…」
×(ブルー)の応対は、一見、相手の話を聞いているようです。
しかし、「私は」から始まる会話にすると、結果的に相手の話を奪ってしまっています。
話題を振られたときに、「私」を主語にすると、「自分もそんなことがあったなぁ。それはいつだっけ?どんな内容だったかな」と、相手の話を聞くどころか、自分の過去の経験を思い出して、それを話すだけになりがちです。
一方で、質問をするときに「あなたは?」という言葉を使うだけで、相手に意識が向かいます。
すると、相手は、どんどん話をしてくれます。
このように、「あなたは?」から始める会話と、「私は」で始める会話では、相手との関係づくりに大きな差が出ます。
営業現場にて
×「今日は、私どもの会社の紹介をさせていただきます。~の歴史があります。私どもが得意としているのは~です。そこで、私どもの提案は~」
このように「私」「私ども」を使うと、自分の会社や商品の素晴らしさ、サービス体制が行き届いているなど、自分が伝えたい内容に終始してしまいます。
相手に意識が向くことがなければ、深いニーズを知ることもできません。
一方で「あなたは」「○○様」はという言葉から始める質問をするとどうなるでしょうか?
○「○○様が今、一番困っていることはなんでしょうか?」(あなたは+でしょうか?)
○「○○様は、その分野について、どのようにお考えでしょうか?」(あなたは+でしょうか?)
このように質問をしていけば、相手をよく知ることができます。相手を知ることができれば、良い提案をすることができます。
会話では、ついつい自分に意識を向けがちですが、相手に意識を向けるのを習慣づけるのが、「あなたは+~でしょうか?」です。
ですから、話し上手な人は、相手が強い興味、関心を持っている相手自身のことについて話をしてもらうように会話を進めていきます。
そのための重要なポイントは、話し手を会話の「主人公」にすることです。
※話を盛り上げる雑談上手になる方法については
本日のまとめ
人に要望を伝えたいときや、動いてほしいときには、「Iメッセージ」が有効であるが、話を盛り上げたいときは、「あなたは、~ですか?」「あなたは、~でしょうか?」といった質問をすると効果的である。